「疼くひと」松本久子 著

疼くひと

「疼くひと」読了

最近、松本久子の「疼くひと」を読みました。(妻が読み終わったらすぐメルカリで売ります)

この小説は老女の性について取り上げたものです。テーマが面白いと感じて読み始めました。

あらすじ(ネタバレあり)

主人公はバツイチで脚本家の老女。老女がネットで出会った中年男性に惹かれていく、というあらすじ。

また、この主人公の老女は脚本家という職業柄もあり大変知的な人です。

しかし、恋愛においては直感をとても大切にしています。相手の行動を分析(深読みともいう)し、「大切にしてくれそう」とか「お金を持っていそう」「仕事ができそう」など判断するようなことはしません。こと恋愛においては純粋に、直感的に「好き」「嫌い」「抱かれたい」「抱かれたくない」で行動しているのです。

一方で、年齢的にも最後の恋愛にしたいという臆病な気持ちもあります。傷つくことを恐れ、恋愛が始まるまで相手に、「体目当てではないか」「自分を騙しているのではないか」など何度も確認する一面もあります。

その姿、まるで10代女子

傷つくことに臆病でありながらも直情的に惹きつけられ心に火がつく様は、恋愛経験の少ない少女のようです。

加えて、久しぶりのデートということもあり、嬉しそうにはしゃぐ老女の姿は、もう完全にジブリ映画の「ハウルの動く城」のソフィー。主人公が若返って見えました。笑

まとめ

このデートシーンで感じた老女が若返る感じは独特の読書体験だったと感じます。

主人公の老女の豊富な経験を根拠とした知性への自信、恋愛以外での理性的な姿と、恋愛のシーンにおける直情的でありながら臆病な、少女のような姿が自然に描かれているギャップが面白い小説でした。

主人公の老女は持ち前の知的さで、よく自分の心を分析しています。これを読むと女性は恋愛が始まる直前こんなふうに感じてるのかもなあ、と勉強になりました。笑

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